先日の旅の話はいかがだったでしょうか。
ここ数年自分が旅の人と言われることに対して違和感があったので、旅について話すことは結構なぞです。肩書きに旅人と言ってるのも絵描きだけではつまらなくてあった方が面白そうだと言う浅はかな呼び名だなと時々思います。でも絵描きじゃない時は旅人になれる、のはいいな。
文字について思い出すこと。
池澤夏樹さんの「南の島のティオ」というお話をご存知でしょうか。主人公のティオが暮らしている南の島でのお話で、この中の「絵はがき屋さん」という話がとても好きです。単価は高いけれど作られた絵はがきを受け取った人は必ず此処に来たくなるというお話なのですが、この絵はがき屋さんになれないかなと思っています。手紙は滅多に書かないよりかは書く方で、展覧会の案内状に書く宛先も手書きを好んでいるため、宛名書きとしてだったら身近な人たちに寄って商売が出来そうな気もしていました。
自分の書く文字が嫌いという人がいます。
僕は小学校の時に習字を習っていて、行くことはいや嫌だったけど、今思えばその頃習っていてよかったなと思います。また中学生の頃にギャル文字が流行っていて平仮名を歪ませて書くみたいな癖が結構好きでした。習字では正しい書き方を習ったはずだけど、今はそういうことを考えて書くことはないです。
絵を描くようになって、パソコンも使うようになって、人のサインとか書画や広告の文字は目につくようになりました。何が好きとかはないけれど、写真の上に手書きでしゅ~っと書かれた文字や、ニョロニョロしている広告とか、墨でさらっと書かれていたり、どっしりしたのとか、見ている時はそう言った印象を持ちながら「いいね~」と思っています。
自分が書く文字について戻ると、書く時に上手く書けたとか、汚い文字だと思うことが常にあります。紙とペンの相性がよいと書く時も上手くいく時があって、文房具屋さんに行くと描き心地のよい道具を探しては買い求めて使い始めても、そんな感覚は些細ですぐに忘れちゃうので、描き心地のいい道具探しに懲りずペン立ては乱立して居ます。
絵を描くときは汚いとか上手いとかそいういう感覚を忘れます。だから端にサインを書くときにすごく悩みます、サインが下手だと描いた絵も嫌に感じちゃうので。
今度から絵を描くようにサインも描いてみようと思います。
「歩き方」和紙に墨/2020年
阿部 龍一(あべ りゅういち)
絵描き・旅人
1987年東京生まれ。歩いた処とそれまでの道のりを絵にしています。
甘党、好きなアイドルはモーニング娘。
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