第4回 王立植物園キュー・ガーデンズ (Kew Gardens)に行ってきました

あいだがあいてしまい大変大変申し訳ありません! ロンドンでの暮らしをお届けする第4回です。前回2月に原稿を書いたのですが、すでに現在、春を通り越し6月です。

梅雨のないイギリスでは、6月は最も美しい季節です。カラッとした晴天が続き、夜の10時近くまで明るいという日の長さ。イングリッシュガーデンの最盛期でもあります。なぜ最盛期かといえば、イギリスの国花、バラが咲き誇るからにほかありません。

私のフラットの近所の公園、グリニッジパークのバラ園でも。奥の煉瓦色の建物は、レンジャーズハウスという18世紀に建てられたジョージアンスタイルのヴィラです。

たくさんのお家のお庭でも。


撮影していたらお家の方が帰ってきて、庭の中に入れてくださるということが何度かありました。とある女性は、「グリニッジのバラは世界一美しいのよ」と誇らしげに教えてくださいました。素敵ですね。

イングリッシュガーデンのハイシーズンを逃してはならないと、ちょうどロックダウンが緩められて開いたばかりの王立植物園キュー・ガーデンズ (Kew Gardens)にも行ってきました。1759年に作られ2003 年にはユネスコ世界遺産にも登録された世界でも最も有名な植物園の一つです。

5万種以上の植物が園内にはあるそうですが、私の見た順番にご紹介しますね。まず温帯の植物を集めた温室The Temperate Houseです。絶滅危惧種、希少種を含む1,500種を保存しています。


続いて、睡蓮の温室Waterlily Houseです。ここ、めっちゃ有名なオオオニバス(Santa Cruz waterlilies)があります。花は48時間で散ってしまい、最初は白、ピンクに変わって最後は紫になるそうです。


熱帯雨林の植物を集めたPalm Houseです。多くのものが絶滅危惧種です。


Palm Houseの前はバラ園でした。


最後は砂漠や熱帯の植物を集めたPrincess of Wales Conservatoryです。多肉植物いっぱいありました。


2時から閉園時間の夜7時までいたのですが、あまりに広大な敷地で回りきれず。また行きたいと思います。

最後にキューガーデンズの成り立ちを少し。キューガーデンズは植物園であると同時に巨大な研究施設なのですが、その歴史はイギリス植民地主義と分かち難く結びついています。18〜19世紀、イギリスのプラントハンターは、世界各地を旅して資源植物とその種、栽培方法を取集し(ときには盗み)、キューガーデンズに持ち帰りました。そして研究と品種改良がなされ、イギリス植民地内のプランテーションで大量生産されたのです。その結果が、インドの紅茶(原産地中国)でありマレー半島の天然ゴム(原産地アマゾン川流域)だったりします。

また当時はオリエンタリズム全盛であり、アジア、とくに中国のエキゾチックな植物が大人気でした。プラントハンターが持ち帰り大流行した椿や石楠花は、今でもイギリスに多くみられます。イギリスがガーデニング大国である背景には、かつて七つの海を支配した大英帝国の歴史があるんですね。

それにしても、6月のロンドンの美しさなめてました。お花が好きな方はとくに、ぜひ見にいらしていただければと思います。


松井美緒
出版社で漫画編集を務めたのち、フリーランスの編集・ライターに。インタビュー、本・漫画のレビューをはじめ、さまざまなジャンルの記事を執筆。

 

倫敦の人

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