Interviews | File No.5
山口さん
Q1. はじめて檸檬の実を訪れたきっかけとそのときの印象は?
10年ぐらい前に根津に住んでいた会社の後輩に、「千駄木に美味しい食事を出すお店があって、マリネがとっても美味しいらしいです」と聞きました。当時はマリネを店頭で売っていたと記憶しています。千駄木に住んでいたので、早々にお店に伺いました。看板が出ていなかったので、恐る恐るカラッカラッと扉を開けました。残念ながら、その日は満席で入れませんでした。それからちょっと時間があいてしまったのですが、次に伺った時には無事に入れました。席に着くと、「前回はお断りしちゃってすみませんでした」とイダさんに話しかけられ驚きました。あの時、一言お話ししただけなのに覚えていただいていたことがとても嬉しかったです。人のことを見てくださっているんだなぁと思いました。また、ごはんを食べに来よう! と決めました。それ以来、檸檬の実に通っています。
Q2. 檸檬の実で食べたいメニューは?
イダさんのお料理はどれも好きです。なかでも、すぐ思い浮かんだのはイワシのグリル、柿の白和え、紫キャベツのマリネです。イワシは火の通り方が絶妙で本当に美味しい。白和えは、イダさんの白和えを食べてから好きになりました。クリーミーで美味しいです。檸檬の実のお料理教室で白和えを習って、自宅でも作っているのですが、イダさんの白和えの味まであと一歩で、何か足りないんですよね…。紫キャベツのマリネは酸味とほんのり甘さがあって、優しいお味で癒されます。
Q3. これからの檸檬の実に期待していることは?
檸檬の実に結構長く通っているので、「準レギュラー」だと勝手に言っちゃっていますが、千駄木に住んでいた頃より、自宅がちょっと遠くなった今の方がお店に伺う頻度が多くなっています。私の平日の食事がかなり偏っているので、土日の檸檬の実の食事でカラダ(心身?)のバランスをとっています。引き続き、美味しいお野菜のマリネやメイン、パン、おやつたちを千駄木で提供してください。今の状況が落ち着いたら、お料理教室もぜひ。2階で開催するイベントも人と人を繋げてくれていると思いますので、これからも楽しみにしています。
Q4. あなたが大事にしていることは?(人生、食、人との関係etc…)
その人らしく、自分らしくいてほしいし、いたい、と思います。変に無理をせず、背負い込まず、肩の荷をおろして、朗らかに。自分もそうですが、相手も朗らかに過ごしていてほしいと思います。私もベテラン女子になりまして、構えていた自分から素の自分に戻していくことの大切さと勇気に気が付きました。年齢を重ねて、より自分らしく、いたいものです。
千駄木から引っ越してやりたかったことのひとつは、友人や後輩と自宅でごはんを食べることです。食器のカチャカチャという音や湯気や、おしゃべり、笑い声、みんなでワイワイ食べるのが物凄く好きです。料理することも好きなので、イダさんにも、「これってどう作るんですか?」と質問しています。
食事って、数週間、数か月後、数年後の自分をつくってくれるものですから、とても大切だと思っています。現状ではなかなか、みんなでワイワイと食事はできないですが、早くみんなで食事ができるように今は我慢の時期、と思っています。
山口さんのファンタジーワールド
~取材おまけエッセイ~
一月某日、山口さんと檸檬の実でランチをご一緒しました。
山口さんとは初対面ですが、落ち着いたお声で静かにお話しされるので、お会いしてすぐに安心感を抱きました。
この日、最初に出てきたのは、寒いので温まってほしいと、イダさんがササッと作ってくださったトマトスープ。芽キャベツが器の端にカプリと添えられ、湯気の立つスープにはチーズがとけ出しています。ひとくち飲むと、にんにくの香りとともにバチッと目の覚めるようなパンチが! 作り方をお聞きすると、バターやはちみつ、タバスコも入っているとのことで、こりゃ、ホットなスープなわけだと合点。その日の気候に合った料理を瞬く間に作り出すイダセンスに惚れました。
ところで、山口さんからのリクエストにあった柿の白和えですが、時季的に柿が手に入らなかったので、牡蠣の酒蒸しに変更したとのこと。柿が牡蠣に! 嬉しい驚きあるメニューの多彩さに味覚が追いつきません。牡蠣のとなりには、ふろふき大根と柚子味噌、青いパンジーも飾られています。
他にも、イカのマリネ、シナモンロールにいちぢくパン、いちごの甘酸っぱいデザートも出てきて、色合いも楽しい満腹メニューでした。
その日に撮影した山口さんのお写真をもとに、にがおちぎり絵を作成。山口さんは目と眉のバランスが特徴的で、私のイメージする巫女さんはこの眉をしています。ほほえむ山口さんのお顔をじっくり拝見していると、山口さんのおじいさまやおばあさまのお顔が想像でき、何代も受け継がれてきているお顔立ちのように感じました。優しさがあふれています。
たべる人 山口さん
1963年鎌倉生まれ。新卒で入社し、現在も広告会社に勤務。
京都が大好きで、年に一回は京都に嫁いだ友人と会い、京都の街をぶらぶらしてます。
去年は行けなかったので、今年こそは…!
構成・ちぎり絵:渡辺えみ
https://emiwatanabe.com